風になびく君の髪






放課後になると


「ちょっと光井!あんたひまちゃんになんもあげてないの!?」


俺のクラスのドアから手島が怒鳴りつけている


「え!?あげてないの!?」


湯山も反応して


「……光井君、そうなの?」


「………うん」


みんなにバレる


怒られるとか、嫌われるとかそんなことはもう考えてない


「あんた来なさい!」


手島に手を引っ張られる


屋上まで連れてかれて


「どういうことなの!?」


手島が鬼の形相で俺に聞く


「………ごめん」



「ごめんじゃなくて!なんでひまちゃんに何も渡してないの!?」


「………」


「なんか言いなよ!
渡せなかったの!?渡さなかったの!?」



「もういいだろ!!」


俺は責め立てる手島に怒鳴り返した



「本当に申し訳ないと思ってるよ
……でも俺の問題なんだ
話したくないんだよ」


「……何よ…話したくないって
あんただけの問題じゃないんだよ!?」


「そうだけど、もういいんだよ」


「自己解決してんじゃないわよ!
男なんだから話しなさいって!!」



「しずく!!もうやめなって!」


湯山が手島の肩を掴んで言う


「なんで!!あんたのために遥香ちゃんも雛も協力したのに
何も渡してないって納得出来ないじゃん!」


「話したくないって言ってんだからいいじゃん!」


湯山はそれでも俺の肩を持ってくれてる




< 420 / 589 >

この作品をシェア

pagetop