サッカー部のイケメン二人の間で揺れて
「詩織、卒業したら一緒に大阪に来てくれないか」
それは優斗先輩の告白? いやプロポーズじゃないか。
俺はなんて場面に立ち会ってしまったんだ。
再度扉の陰に隠れて、会話が終わるのを待った。
会話が途切れた時、初めてここに来たような演技をして救護室へ足を踏み入れた。
俺はその時目にしたシーンにショックを受けた。
詩織が優斗先輩に近づき、顔が重なった。
俺は一歩後ずさりした。
運悪く足が扉に当たってしまい『ガタッ』と音を出してしまった。
その音に反応して詩織が振り返って俺を見た。
「優斗、せん、ぱい。勝ちました。全国へ出場できます」
それを言うのが精いっぱいで、俺はその場から駆け足で離れた。