サッカー部のイケメン二人の間で揺れて

◎ 詩織とはじめての -恭介-


詩織の通話がなかなか終わらないからラインをした。

≪今さ、詩織んちの前にいる。少し出てこれる?≫

詩織はやっと電話を切ったのか、部屋のカーテンを開けて暗がりにいる俺を探していた。


「恭介?」


そう小さな声で俺の名前を呼ぶ。

俺はチリンと自転車のベルを鳴らした。

詩織はすぐに家から出てきてくれて、

「恭介、どうしたの? いつから待ってた? 寒くなかった?」

そんなに質問してくんなよ。答えられねーじゃん。


「うーんと、詩織に会いたくなったから、来た。詩織が長電話してるときに、来た。・・・・超寒かった」

「もう! 手貸して」

そう言って詩織は俺の手を握った。

「うわ、詩織の手、あったけー」

「恭介の手は冷たい。風邪ひいちゃったら大変だよ。もうすぐ大会なのに」

「ね、ちょっと待ってて」

そう言って詩織が家の中に入って行く。
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