サッカー部のイケメン二人の間で揺れて
「そうだな、面白い人だった。俺なんて東大に行ける頭があってなんでそんなにバカなの、って言われたよ。そんなこと言えるの、あの人だけだろ」
「あははっ、やだ。吉野さんってそんなこと言うんだ」
恭介と吉野さんが楽しい時間を過ごしてくれたのが分かって、ホッとしたな。
良かった。
「でさ、詩織。吉野さんのアドバイスを素直に受けるとするならば、なんだけどさ」
「うん、なぁに?」
「あのな、大学さ。K大でもいいかな」
「えええーーっ! 恭介がK大学に進むの? それ本気で言ってる?」
「だよな。やっぱりダメだ・・・」
「凄い! 凄い! 恭介、凄いじゃない。いいよ、K大学」
私は恭介が話し終わる前にびっくりした気持ちをそのまま口にして叫んでいた。
「は? 詩織と同じ大学じゃないんだけど」
「そんなの全然かまわないよ。絶対にK大学の方がいいって。恭介、受験頑張ってね。なんなら合格するまでここに遊びに来なくてもいいよ」
「何言ってんの、詩織。受験勉強はちゃんとやってるから。受験勉強の息抜きができないなんて俺、耐えられねーし」
「じゃあ、私が地元に帰るから。ね、恭介の移動時間がもったいないよ。いくら恭介だってK大学は難しでしょ?」
「ねー、さっきからK大を推してくるけどさ。詩織と大学が違っちゃうんだよ。いいの?」
「うん、大丈夫だよ。K大学だったらここから通えるもんね。私は恭介が一緒に暮らしてくれるだけで十分幸せだから。大学まで一緒がいいなんてわがまま言ったら怒られちゃうよ」
「そっか。ありがとう詩織。俺、受験頑張ってみるわ」
恭介って本当に凄いんだな。
学校で成績がトップだって知ってたけど、まさかK大に入れる力があるなんて。
そんなにできるのに、私と同じ大学じゃ恭介のご両親だってきっとがっかりする。
サッカー部を引退したらあっという間に受験だよね。
応援しているから、本当に頑張ってね。