サッカー部のイケメン二人の間で揺れて

足を動かすことができずにいた私の背中を押してくれたのは優斗くん。

「今、恭介を追いかけなきゃ後悔するんじゃないのか? アイツ、俺たちを誤解したぞ。俺、頭に怪我なんかしてないし」

「ど、言うこと?」

私は優斗くんが何を言っているのか理解できなかった。

「ごめん、詩織。俺、お前たちに意地悪した。さっき恭介が来たの知ってて詩織を俺の方に近づけさせた。頭の怪我を見て欲しいって」

「怪我してなくて良かったよ?」

「詩織、分かってないな。その詩織の行動は恭介の方から見たら俺にキスしてるように見える角度だろ」

「なっ!! 酷い、優斗くん!!」

酷いと思うけど、優斗くんの本心じゃない。

そう言って私の背中を押してくれたんだ。それが痛いほど分かる。
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