テスター
言われたとおりだった。


私は化粧をしないところか、まともに化粧品すら持っていないのだ。


就職活動中に少しファンデーションをつけていたことがあるけれど、就職が決まると同時にやめてしまった。


「おしゃれ、しないとまずいでしょうか?」


「まずいっていうか、若いのにもったいないなぁと思いますけどね。俺なんかはほら、もう終わってるから」


そう言って禿げた頭を佐々とペチペチと叩いてみせた。


そういうものだろうか。


若い内に化粧をしていたほうがいいのだろうか。


その辺のことを両親から学んだことのない私はなにもわからなかった。


ただ、意識して回りを確認してみると同い年の女性教師はみんなおしゃれだということがわかる。


私はいつもスーツ姿だけれど、中には動きやすくラフな格好の先生も多い。


普段着であんなものは持っていない私は、スーツで出勤するしかないのだ。


男性教師だって、ヒゲが伸びていたり不潔だったりする先生はいない。


生徒たちの前に出る存在だからこそ、見た目にもちゃんと気を使っているのがわかった。
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