殺人感染
あたしはいたたまれない気分になり、モップを握り締めてドアへ向かって歩き出した。


「やめとけ」


ドアの前に立ちはだかったのは純也だった。


「でも、香はあたしの友達だよ?」


「小村のことだって見捨てたんだ」


純也に言われてあたしは青ざめたままの雪へ視線をやった。


あの時のことはもちろん覚えている。


あたしたちは3人で雪を止めたんだ。


だから今からあたしがやることは本当に身勝手だと思う。


怒られても仕方のないことだ。


でも、あたしは香を探し出したい。


「純也は雪のことを見ていて。ひどい貧血みたいだから」


雪は椅子に座った状態でいるのもつらそうにしている。


床を綺麗にして、寝かせてあげたほうがよさそうだ。


「じゃあね」


それだけ言うと、あたしは純也が引き止める声に耳を貸さずに、教室を出たのだった。
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