死なないあたしの恋物語
「あたしには、青春なんて無縁だし」


ついそう言うと、2人が同時に瞬きをした。


そして不思議そうな顔になって「どうして?」と、口をそろえる。


「どうしてって……」


説明することができなくて口ごもる。


不老不死だからだよ~と言えば2人は笑って、この話題は打ち切りになるだろうか。


そう考えていると、真夏があたしの肩を抱いてきた。


「人生1度きりなんだから、なんでも本気でやらなきゃつまんないよ!?」


「人生1度きり」


あたしは呟く。


その1度が永遠に続いても、1度きりという言い方をするんだろうか。


だけど確実なのはこの出会いは確かに1度きりだということ。


来年になればまたみんなの記憶をリセットすることになる。


そうなると白坂君はあたしのことを忘れてしまう。


どうせ忘れてしまうなら、思いっきり青春らしいことをしてみてもいいかもしれない。


「そうだよね」


あたしは小さな声で呟いた。


1度きりの中学校生活なら、それを思いっきり楽しんでみてもいいかもしれない。


また中学生をやるときがきても、それはもう今回とは違うものになるんだから。


最後に記憶を消すのだから、なにをしたって問題ない。
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