死なないあたしの恋物語
それに流されるようにして「がんばれ……っ!」と、つい口から出ていた。


洋人君は真っ直ぐゴールだけを見つめて、ゴールを目指して走る。


「頑張れ! 洋人君!」


その姿を見ていると、どうしても自分の声を伝えたくなった。


「頑張れ! 頑張れ!」


走っても走ってもゴールが見えない人生。


あたしのゴールはどこなんだろう。


あたしの人生という試合はいつ終了するのだろう。


そんなこともわからないあたしだけど、今は洋人君の応援をしていたいと心から思えた。


洋人君がゴールへ近づけば近づくほど、自分の中の血が沸きあがるのを感じる。


呼吸が短く、浅くなっていくのがわかる。


今、あたしは生きている。


こんな風に強く生を感じたのは久しぶりのことだった。


「洋人君、頑張れ!」


あたしはめいっぱい声を張り上げて伝えた。


観覧席の人たちがこちらを振り向いたけれど、それにも気がつかないくらい、夢中になって洋人君を応援していた。


やがて洋人君はおいかけてくる敵チームの選手を振り払い、ゴールへシュートを決めた。


ボールは真っ直ぐに飛んで、ゴールネットを揺らす。


やった!!


同時に飛び上がって両手を挙げていた。


「やったー!」


あちこちから拍手と歓声が沸き起こる。
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