乙女チック同盟~私と学園の王子様のヒミツの関係~
「わあ、すごい!」

 奥の仕事部屋には、可愛いフリルやレース、リボンのついたお洋服がたくさん!

「これも可愛い、これも可愛い……!」

 可愛いお洋服がいーーっぱい!

 まるでおとぎ話の世界に来たみたい!

 私が感動しながら素敵なお洋服たちを眺めていると、華さんが「ふふっ」と笑った。

「気に入ってもらえたみたいでよかった。うちの服を見せると、『大人なのにこんな服着るなんて』とか『イタい』とか『悪趣味』とか言う人もいるから」

 「うんうん」「そうそう」と、夢さんと海さんもうなずく。

 えーつ、こんなに素敵なお洋服なのに信じられない!

「そんな酷いこと言う人いるんですね。こんなに可愛いのに」

 私がつぶやくと、華さんたちはキラリと目を輝かせた。

「……良かったら、着てみる?」

「えっ?」

 でも私みたいな地味な女じゃ似合わないんじゃ――そう思っていると、夢さんが私の腕を引っ張った。

「それいいね! かなでちゃんはどの服が好み?」

「えっと、でも――」

「あ、それとも、やっぱりこういう服は恥ずかしいと思う?」

 夢さんが悲しそうな顔で聞いてくる。

「いえ、そんなことありません!」

 そ、そうだよね。ここで選ばないとかえって失礼になっちゃうかも。

 私はじっと可愛いドレスたちを見つめた。

「え、えっと……あ、これ、可愛い! お姫様みたい」

 まず私が手に取ったのは、レースがふんだんに使われた水色っぽいドレスだ。

「ああ、このサックスの色味良いよね。うちでも一番人気なんだ」

 夢さんが教えてくれる。

「はい、本当にキレイです……! お姫様みたい」 

「このヘッドドレスもセットになってるんだ」

「わあ、可愛い! ……あ、こっちもステキ」

 次に目に入ってきたのは、アンティークっぽいワインレッドのワンピース。

「これもいいでしょ? そっちは私のデザインだけど、これは海のデザインなんだ。私のデザインしたのはフリルが多くてパステル系のお洋服が多いけど、海のはちょっとクラシカルで落ち着いた色味の物が多いの」

「そうなんですね。アンティークドールみたいで凄くロマンティック……」

 凄いなあ。華さんだけじゃなく、海さんもデザインするんするんだ。

「夢さんは、デザインはしないんですか?」

「私はねー、まだまだ計画段階だけど、ロリータっていうよりは、ロリータ要素は少しあるけどもっとカジュアルで普段使いできるような洋服をデザインしたいなって思ってるんだ」

「へえ、そうなんですね」

 考えただけでもすごく素敵!
 夢さんの計画、実現するといいなあ。

「どれ着てみるか決めた?」

 すると海さんがニコニコしながら聞いてくる。

「あ、はいっ。これにします!」

 私はワインレッドのワンピースを指さした。

「じゃあ、隣の部屋で着替えておいで」

「はい」

 わあ、こんなに可愛いお洋服を着れるなんて夢みたい。

 私はワクワクしながらワインレッドのワンピースに袖を通した。
< 52 / 88 >

この作品をシェア

pagetop