棘甘王子に現行犯逮捕されちゃいました ゾルック 三人目
「勇君。デッサンの邪魔、しないでよ」
椅子に座ったまま、勇君を睨んでみた。
「鈴さ、
その顔で俺に怒ってるつもり?」
「何それ!」
「リスみたいにほっぺ膨らました顔。
俺のツボなんだけど」
ケラケラと笑いながら
私のほっぺを触ろうとする、勇君の指を
「邪魔するなら出てってってば!」
と、手ではたいたのに。
「告白の返事……
聞きに来たんだけど……」
返ってきたのは、
予想外に低くて、真剣な声。
「あれから俺のこと、真剣に考えてくれた?」
眼鏡ごしの、凛とした瞳に見つめられ。
『っ……ドクン』
心臓が、乱れ始めてしまった。
駆け出す心臓につられ
声までアタフタしてしまう。