棘甘王子に現行犯逮捕されちゃいました ゾルック 三人目
「立てる?」
僕が差し出した手を、
恐る恐る握ったりんりん。
久々に触れる、りんりんの温もりに
僕の手首の脈が、ドクンドクンと
飛び跳ねだしたのがわかる。
りんりんを起こそうと、
腕を引っ張った瞬間。
「……っつぅ」
りんりんは、苦しそうに顔を歪めた。
「どこか、痛むの?」と、心配しても
「何でもないですから」と、首を横に振られ。
「保健室に連れてってあげる」
「……っえ? い…い…いいです!」
両手を振って、全身で拒否られ。
僕の心に、
ザラザラした痛みが広がっていく。
そんな態度取られたら、
傷つくんだけどな。