棘甘王子に現行犯逮捕されちゃいました ゾルック 三人目



「立てる?」


 僕が差し出した手を、
 恐る恐る握ったりんりん。




 久々に触れる、りんりんの温もりに

 僕の手首の脈が、ドクンドクンと
 飛び跳ねだしたのがわかる。




 りんりんを起こそうと、
 腕を引っ張った瞬間。

「……っつぅ」

 りんりんは、苦しそうに顔を歪めた。




「どこか、痛むの?」と、心配しても

「何でもないですから」と、首を横に振られ。




「保健室に連れてってあげる」


「……っえ? い…い…いいです!」


 両手を振って、全身で拒否られ。



 僕の心に、
 ザラザラした痛みが広がっていく。



 そんな態度取られたら、
 傷つくんだけどな。


< 163 / 227 >

この作品をシェア

pagetop