棘甘王子に現行犯逮捕されちゃいました ゾルック 三人目



「これ、キミのバレッタでしょ?」


「えっ?」


「こんな可愛いバレッタを落とすなんて、
 キミはそそっかしい、パンダさんなの?」



 これって……

 教室にあっ君が来てくれた時と、一緒だ。



「僕がつけてあげるね」



 ファンの子達の、嘆き声が突き刺さる。


 でも、そんな攻撃的な声は
 不思議と気にならない。




 私のひたいを指で撫でるように

 あっ君がバレッタを付けてくれて。



「かわいい」


 真ん丸な瞳をアーチ状に変え

 あっ君が、思いっきり微笑んでくれて。



 私の心臓は、ドキドキを通り越し

 肌から逃げ出しそうなほど

 バコンバコン飛び跳ねだした。

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