想妖匣-ソウヨウハコ-
「こんの、クソガキ……」
呻き声を上げながら明人は恨めしそうな顔でカクリを睨むが、そんな事どうでもいいカクリは、気にする様子を見せない。
「匣の入った小瓶を渡せと言っている!」
怒りと呆れが込められた言葉を聞き、明人は数秒後に立ち上がる。服についた汚れを払った後、わざとらしく「それの事か!」と言いながら手を鳴らした。
「絶対にわかっていただろう……」
「いやいや、言葉にしてくんねぇとわかんねぇよ?」
カクリの言葉に返答しながら、左ポケットから小瓶を取り出しカクリに渡す。今回は合っているかまじまじと確認すると、正真正銘の匣の入った小瓶だと確信する事が出来た。
まだカクリは不貞腐れてはいるものの、納得して大事そうに小瓶を握る。
「ちゃんと主語を言わないといけないよ~、カクリちゃん」
厭味ったらしく告げ、明人は部屋の奥へと姿を消した。
「…………いつかあやつを呪い殺してやる」
カクリはドアを睨みながら愚痴をこぼし、そのまま小屋の出入り口から外へと出て行き、林の外へと消えてしまった。