エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました

「うんうん、話なら聞くから。中に入って温かいものでも飲もう?」

 姉はポンポンと背中を叩いて私を落ち着かせ、キッチンで温かいココアを淹れてくれた。

 リビングのテーブルにコトリとカップが置かれると、甘く優しい香りにますます涙腺を刺激され、私は洟を啜る。

 そうしてひと口飲んだココアは、自分の涙が混じって少しだけ塩辛かった。

 私はそれから電話では伝えきれなかった経緯を姉に伝え、「だからしばらくここにいさせてくれる……?」とお願いした。

「それはいいけど、本当によかったの? 一番大切な人の気持ちを確かめずに、離婚届を置いて来たりして。彼、今頃すごくショックを受けてるかもしれないよ?」
「……大丈夫、だと思う。彼には私より相応しい相手がいるから」
「でも、叶未が大丈夫じゃない顔してるじゃない」

 泣きはらした私の顔を見て、姉は自分までつらそうな表情になって言う。

 私が我慢すれば、他の人はみんな幸せ……ではなかったみたいだ。私、こんなに優しい姉の心を痛ませている。

 私の選択は間違いだった? だとしても、もう後戻りはできないけれど……。

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