エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました
『海外の貧しい国々では、ダイヤモンドの採掘に子どもが駆り出されたりする。そのきつい労働に見合う収入は得られず、長期間にわたって鉱物を含む粉塵を吸い込んだせいで肺にダメージを負ったりもする。働いている間、その子たちは学校へ通えない』
大和さんが合成ダイヤモンドの研究所設立にこだわっていたのは、そういった人権問題に胸を痛めているからでもあった。
海外を転々とするお父様から、ジュエリー市場の動向だけでなく、産地の社会情勢の情報も常に得ていたのだ。
『研究所で人工的に作られたダイヤモンドに、歴史や物語はない。しかし、そこに消費者各々が、自由な物語を乗せればいい。大切なパートナーとの甘い記憶、自分自身の努力の過程、あるいは苦悩や挫折。長い年月をかけて持ち主のストーリーを吸い込んだダイヤモンドは、きっと天然に勝るとも劣らない輝きを持つ』
ジュエリーそれぞれが持つ、光と闇の物語。それを正しく理解したうえで、ジュエリーの可能性を真摯に探っていく、そんな大和さんの姿勢に私は胸を打たれた。