エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました
大和さんは少々呆れたように言うと、そっと体を離して私の顔を覗く。
その眼差しから、今までと全く変わらない愛情がとめどなく注がれているのがわかると、もう逃げようとする気は起きず、私の瞳に温かい涙が浮かんだ。
私の選択が間違いだった。彼にきっぱりそう言われたことで、胸につかえていた大きな塊もゆっくり溶けてなくなっていく。
「私……怖かったんです。あまりに素直で正直な紅蘭さんが眩しくて。自分を殺すことに慣れすぎて、本音を飲み込んでばかりの私なんて、イミテーションの石程度の輝きしかないように思えて」
私は震える声で、このところ自分の中で膨張し続けていたコンプレックスを大和さんに打ち明ける。すると彼は私の手を取り、そっと胸の辺りに置いて言った。
「俺には見えてる。どんな宝石より美しい、きみの心の輝きが。いいんだよ、叶未は叶未のままで」
「大和さん……」
大きな安堵が胸に広がり、瞳に留まっていられなくなった涙が、ぽろぽろと頬を伝う。
大和さんは優しく微笑んで、濡れた頬を指で拭ってくれた。