エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました
「うちのお父さんとお母さんの恋愛に憧れたから、だったよね?」
「うん。そうだけど」
どうして急にそんな話を?
戸惑いながらも頷くと、姉はにっこり笑みを深めた。
「だったら、なおさらこの話に乗ってみてもいいんじゃない? 私たちの両親と立場は逆だけど、情熱的な恋愛結婚ができそうだもの」
「じょ、情熱的……?」
お姉ちゃん、ちょっと面白がってないだろうか。
と、姉のいきすぎた妄想はともかく、確かに両親の馴れ初めはロマンティックなものだ。
地主の娘で、お嬢様といって差し支えない裕福な暮らしをしていた母と、ごくごく一般の家庭で育った父。ふたりは同じビルにオフィスを構える別々の会社に勤めており、挨拶を交わす程度の仲だった。
それがある日、雨の日に傘を忘れ軒下で途方に暮れていた母に父が自分の傘を貸し、そのまま雨の中に飛び出そうとする父に母がハンカチを貸した、という王道ベタ展開で恋が生まれたそう。