カタブツ竜王の過保護な求婚

 春の穏やかな日光を遮る東屋は、寄せ棟形式の茅葺き屋根を四本の太い柱が支えているだけ。
 屋根の下には敷石もなく、均された土の上に装飾も何もない、丸太を縦に割って足を付けただけのようなベンチが二脚。そして、ベンチの足を長くしただけといった感じのテーブル。

 付き添いの者たちにも冷たいお茶が配られ、皆が休息を取りながら、長閑な昼下がりの時間を楽しんだ。
 あたたかな風が東屋を吹き抜けていく。


「――さて、もう少し頑張りましょうか? そうすれば、今日の晩餐はきっと豆づくしになるわね」

「ええ!」


 レイナに続いて、ジェマも元気良く立ち上がった。


「ですがジェマ、次からはちゃんと帽子をかぶらないと。これからどんどん暑くなりますからね」

「でも、長い耳がじゃまになるの。それにお姉さまのように肌も白くないし、大丈夫です」

「あら、だめよ。強い日射しを浴び過ぎると、お肌だけじゃなく、体調まで悪くなるのよ。それで私、幼い頃に寝込んだことがあるの。だから油断は禁物よ」

「お姉さまが?」

「ええ、昔の私はとてもお転婆だったから」


 ちょっと澄ました調子で、諭すように言う。
 と、後ろでアンヌがぷっと吹き出す気配を感じた。現在進行形でお転婆でしょうと言わんばかりだ。

 レイナは黙ってなさいと睨みつけた。
 そのアンヌも、他の侍女たちも、ジェマ以外の女性陣はみんな帽子をかぶっている。
 ジェマはこくりと小さくうなずいた。


「わかりました。次からは帽子をかぶるようにします」


 しおらしい返事に誰よりもほっとしたのは、ジェマの侍女たちだった。

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