カタブツ竜王の過保護な求婚
満足げな笑みを浮かべた夫人が、手紙をレイナの護衛騎士だったはずの偽騎士に渡す。
騎士はレイナをちらりとも見ず、さっさと背中を向けて出て行った。
あの騎士も、ここに残っている騎士も、レイナの護衛に付くようになったのは、カインが城を発ってからだ。
そんなことよりも、とレイナは筆を握り締めて立ち上がった。
幸い、一人減って偽騎士は六人になったのだから、今のうちにあの宝物の場所に向かったほうがいい。
「ユストリス王家の秘宝はとても素晴らしいものよ。でもきっと、あなたの大切な方には似合わないと思う――」
レイナの言葉は、激しい衝撃音とともに途切れてしまった。
「レイナ様!」
驚きと怒りに満ちたアンヌとラベロの声があがる。
レイナは何度か瞬いて、じわりと痛み出した左頬を押さえた。
「余計なことを口にしないで! たとえあなたがあの方の娘だったとしても、所詮は捨てられた女の娘! 無礼にもほどがあるわ!」
憤激する夫人を、偽騎士たちが押し止める。
レイナに怪我をさせるのは厄介なことになると判断しているらしい。
その様子を黙って見ているレイナは、呆然としているようだったが、内実はかなりの怒りに燃えていた。