カタブツ竜王の過保護な求婚
「それは……かなり難しいかと思うわ。そもそも秘宝を手に入れたとして、どうするつもりなの?」
「いいえ、わたくしどもは何も。ユストリス王家に代々伝わる秘宝なのですから、当然、妃殿下に受け継がれるべきでしょう?」
「このまま……私が姿を消せば、騒ぎになるのは目に見えているわ。それに秘宝を持ち出すなど叶うわけがないもの」
「あら、妃殿下には今すぐ手紙を書いていただきます。少しの間、時間を稼げればかまいませんもの。確かに、一晩も戻らなければ騒ぎになるでしょうが、むしろそれは歓迎すべきことでしょう? 明日の夜には事が起こるのですから、混乱は大きければ大きいほど良いもの。それに宝物庫は妃殿下なら開けさせられるでしょう? わたくしに見せるということで十分通ると思いますわ」
レイナの気まぐれで部屋に戻るのが遅くなったとしても、アンヌとラベロが側にいればノーラたちもそれほど心配はしないだろう。
今、レイナたちを囲む七人の騎士たち――おそらく、ユストリスの騎士に扮しているだけであろう偽騎士たちを相手に、アンヌを人質に取られた状態で切り抜けることは不可能だ。
それでも何とかしなければ。
レイナは夫人が監視する前で、ノーラへと簡単な内容の事付けを書いた。
急に秘宝を見たくなったので、宝物庫へ向かう、と。そして、アンヌがいるので、戻るのを待たずに先に休むように、とも。