カタブツ竜王の過保護な求婚

「あなたの大切な人と私は、似ているところはある? 仲良くなれるかしら?」

「まさか!」


 何気ない問いに、夫人は嫌悪をあらわに否定した。だが、レイナはちょっと首を傾げただけ。


「あの方には神々しいほどの威厳がございますもの。あなたのように騎士と走り回って遊んだりなどといった、野蛮なことはなさいません」

「野蛮、ね……」


 呟いたレイナはまた首を傾げて、夫人に微笑みかけた。


「ところで、私たちはこれから北庭に向かうのだけれど、このまま北扉から出るべき? そこにちゃんとランタンは用意されているの?」

「もちろんですとも」


 逃げようとしても無駄よ、と言わんばかりの口調にも、レイナは気にした様子もなく、「そう」と答えただけ。
 いつレイナが逃げ出すとも、助けを求めるとも知れずに騎士たちがかなり警戒している中、動くつもりなどはなかった。

 きっと好機は訪れるはずだと、その時を絶対無駄にしないと心に決めているのだ。
 そして、一行は北の回廊を進み、階段に差しかかった。

 回廊とは違い、階段は薄暗く、気をつけないと足を踏み外してしまいそうだ。一歩一歩、踏み段を下りて行く度に、気持ちまでどんどん沈んでいく。
 それでも偽騎士たちがランタンを持てば、少なからず隙が生まれる。レイナたちが持つことになれば、ある種の武器になると心を奮い立たせた。
 手を引かれることを拒み、自身でつかんだ手すりにぎゅっと力を入れて、レイナはふらつきそうになる体を支えた。


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