シークレットベイビー② 弥勒と菜摘
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朝の眩しい光。

窓から新鮮な空気が入ってくる。

弥勒はパルにエサをやり、やっぱり7時に起きてきた一子に朝ごはんを作り、それを見ながら自分は水を飲んでいた。

櫂が気にして様子を見に来た時も、弥勒は椅子に座っていた。足元で一子とパルが寝転びながらじゃれている。菜摘はまだ、起きてきていなかった。


「その。大丈夫だったか? 」

「まあ、ね」


と指で髪をすく。


「でも誠心誠意つくした、やりきった、かな」


と笑った顔が大人っぽくて、男の色気の滲ませており、櫂ですらドキッとした。


「逆だったら」


と弥勒が言った。


「菜摘に触れていた男がもしいたなら、
まあ、犯罪が起こるよ」


 だから菜摘の痛みは消えないだろう
 そしてオレも痛い

 こんなふうに痛みをかかえて、生きていくんだな

 痛くて愛しい
 愛してるからこんなにも痛い。

 謝るのも違う、なじるのも、自己嫌悪も違う

 全く真摯な気持ちで共に生きていく。


「知らなかったな。こんな⋯⋯ 」


と弥勒は誰にともなく言った。それから、櫂に、


「お前も気をつけろよ」


と言った。


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この助言が本当に櫂の身に降りかかるのは、数年後のことだろう。



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