シークレットベイビー② 弥勒と菜摘
✴︎


「引っ越しのことだけど」


菜摘達は、このマンションから引っ越す予定をしている。

弥勒の実家の敷地は、家の後ろにまだ一山ほどあり、十分な広さがあるので、そこに家を建てた。一子の3歳の誕生日はまだマンションになりそうだけれど、春頃には準備が整うだろう。


「家具も、全部、菜摘の好きにしたらいいよ」

「私、わかりませんから⋯⋯ 」

「そうだね、犬ももう1匹ほしいし⋯⋯ 」


とニヤリと笑って、


「子供も欲しいし、あ、もう出来てるかもよ? 昨日の夜の子」

と爽やかに言うけど!


「何、言ってるんですか! 」


恥ずかしい、そのうち一子も理解しちゃうかも。結構、弥勒は子供の前でもイチャイチャしてくるから⋯⋯ 。
一子はドーンと座って、黙々と朝ごはんを食べながら、


「あかちゃんのはなしね」


と、わかってるのかなんだか。
一子は落ち着いていて、妙に達観したような子だ。


(かい)も近くなるしね⋯⋯ 」


とぽつりと弥勒が言う。

弥勒のお兄さん達夫婦と息子の櫂くんは、実家の下から2軒目の空き家だった家に一年前から住んでいた。
引っ越しをすれば、同じ敷地内にに住むことになる。

櫂くんか⋯⋯ 。

櫂の話が出で、弥勒がちょっと言葉を詰まらせて気にしている。

先日。

お父さんの誕生会で聞いたことを、弥勒も菜摘も気にしていた。

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