モブで地味子な私を、超イケメン男子が、かまってかまって溺愛中!

第52話「彼女宣言!!」

 遂に! 遂に私は来たっ!!
 超人気のテーマパーク夢の国『ファンタジーユートピア』!!
 かわいいキャラクターやワクワクする乗り物がい~っぱい!!
 パレードも楽しみっ!!

 そう!
 今日は3回目の集団デート開催なのだっ!!!

 女子50人、男子50人。
 これまでの最大級規模。
 都合100人の集団デートである。

 さあ、今日は「めいっぱい」遊ぶぞぉぉ!!
 と、言いたいところだが、私はとても緊張していた。
 これから起こる事を考えると、身体がこわばり、手がふるえるのだ……

 実は……
 先日した楽葉原でのデートの際、私は成瀬君から言われていた。
 しかるべき場所で『彼女宣言的』なパフォーマンスをすると。

 最近の私は、昼休みいっつも成瀬君と一緒。
 ほぼ毎日ランチをしている。
 もう当たり前の風景。
 そういう認識が女子達にはある。

 成瀬君は以前クラスの女子へ宣言した。
 「俺と、ゆいは友だちだ。実は、初めて親しくなった女子のともだちだ。そうだな、ゆい」って……

 初めて親しくなった女子のともだち……ともだち。
 ともだちは……彼女じゃない……と思う。
 私と成瀬君は親しい友だち……
 『ステディな関係』だとは認識されていない。

 今日の集団デートは基本的に、自由行動、自由解散という共通認識。
 サプライズイベントは、集合してすぐ起こる。

 全員が集合し、一応出欠確認。
 
 さあ自由行動開始というところで、私のそばに立っていた成瀬君はにっこり。
 私の手をしっかり握り歩きだした。
 グループからふたりだけ、離れて行く。

「さあ、ゆい行こう!」
「は、は、はいっ!」
 
 戸惑いながら、ちらと見たら……
 成瀬君へ駆け寄ろうとした10人以上の女子達が、あぜんとしていた。
 これは他のクラスの子……「まさか!?」というオーラがバリバリ出ていた。
 成瀬君の友だち……他校の何人かの男子もびっくりしていた。

 でも……
 ウチのクラスの女子達は「さもありなん」と、騒ぎもせず見守ってくれていた。
 
 その中で、白鳥さんだけが大きな声で叫び、笑顔で手を振ってくれている。

「ゆい~! 成瀬君! お幸せにぃぃ!!」
 
 ああ、白鳥さんありがとう!
 私も成瀬君も「ありがとう!!」と叫び、思い切り手を打ち振った。
 
 成瀬君が大声で「彼女だ!」とはっきり言ったわけじゃない。
 でも私を……「私だけを強引に連れて行く」意思表示。
 誰にでもひと目で分かる、文句を言わせない示威行動。
 「三島結は、俺のステディだ」と猛烈にアピールしたのである。

 成瀬君が手を「きゅっ」と握ってくれる。
 初めて握った時から変わらない。
 大きく温かい手!
 実感した。
 私は……この人の……成瀬君の彼女なのだと。

 この日、はっきりと『成瀬君の彼女』だと認識された私は……
 
 成瀬君とふたりきり、手をつないだまま園内を歩き……
 乗り物に乗ったり、ファンタジーいっぱいのレストランでおいしくランチ。
 華やかなパレードへ思いっきり声援を送ったり……
 ファンタジーユートピアの閉園時間まで、思い切り楽しく遊んだ。

 そして現実とは思えない神々しいイルミネーションに包まれながら……
 成瀬君の唇が、優しく、そっと私の唇にふれたのである。
< 52 / 53 >

この作品をシェア

pagetop