モブで地味子な私を、超イケメン男子が、かまってかまって溺愛中!

第53話「10年後……」

 ……時が流れた。
 
 一生忘れられない素敵な想い出。
 私と成瀬君がファーストキスを交わした……『ファンタジーユートピア』
 総勢100人デートから、早いものでもう10年がたっている。
 
 14歳の青春真っただ中にいた私と成瀬君、白鳥さんは……
 今や24歳の大人となり、それぞれの道を歩んでいる。
 
 それぞれの道……
 3人はたゆまぬ努力の結果……自分の夢をかなえる事が出来た。

 私、三島結は……コツコツ地道に書いていた小説が某出版社編集部の目に止まり、高1の時、書籍化。
 ライトノベル作家としてデビューした。
 成瀬君の素敵なイラストがきっかけで、投稿サイトに連載していた作品のブックマークが一気に伸び、相当数の読者がついてくれたのだ。
 
 書店に並んだ自分の本を見た時、「夢がかなった!」と実感した。
 成瀬君に大感謝!
 そして成瀬君との交際をフォローしてくれた白鳥さんにも大いに感謝したい!
 
 成瀬君……成瀬悠真は……これまた高1の時、私の作品の為に描いた妖精のイラストが、違う出版社編集部の目に止まった。
 そして、いきなり某有名ライトノベル作家の書籍の挿し絵を依頼され、イラストレーターとして華々しくデビューしたのだ。

 念願かない、デビューしたが……それから、いろいろあった。
 私たちは、順風満帆(じゅんぷうまんぱん)だったわけではない。
 (けわ)しき山あり谷ありだったのである。

 でも……負けなかった。
 私と成瀬君はお互いに励まし合い、慈しみ合い、支え合った。
 切磋琢磨(せっさたくま)しながら、高め合い、創作活動にいそしみ、キャリアを積みながら成長していった。
 
 まだまだ発展途上で、もっともっと頑張らないといけないけど……
 現在はライトノベル作家、イラストレーターとして、何とか仕事をする事が出来ている。

 すでにいくつか、ふたりの『合作』を……
 つまり『文』は私、『イラスト』が成瀬君の作品も出している。
 ちなみに次の新作も『合作』の予定だ。

 こうして、じっくり愛を(はぐく)んで来た私たちは、先日……結婚した。
 素敵な教会のチャペルで、私たち双方の両親、白鳥さんを始めとした親しい友だちなど、たくさんの人にお祝いしてもらい、素晴らしい結婚式をあげたのだ。
 
 メイクアップアーティストの成瀬君のお母さんに、私は綺麗にメイクしてもらい、純白のウエディングドレスで可愛く。
 成瀬君も白のタキシードをスマートにカッコよく着こなした。
 
 記念すべき結婚式。
 式場のカメラマンさんが撮ってくれた出席者全員の集合写真とはまた別に、
 プロカメラマンの成瀬君のお父さんには、私たちふたりだけの結婚記念写真とか、家族写真もい~っぱい撮ってもらった。
  
 私たちは10年も付き合っていて……不思議にケンカをした事はない。
 これからも……ふたりで仲良く、人生をともにして行くだろう。

「ゆい、おはよう」
「おはゆう、ゆうま」

 私たちは「朝」のキスをした。
 ……結婚して、ようやく『成瀬君』から『ゆうま』と呼べるようになった。
 付き合っている10年間は、なぜかず~っと『成瀬君』
 それが自然だった。

「ゆい、朝食、いつものハムカツサンドで構わないよな」
「うん、オッケー。私もゆうまも、ハムカツマニア協会正会員だもん」
「あはは、だよな! 飲み物はお約束のブラックコーヒーだろ?」
「ピンポーン!」

 ブラックコーヒーを飲むふたりのマグカップはもう10年も使っている。
 ふたりきりで初めて……
 楽葉原でデートした際に購入した、おそろいのアニメマグカップ。
 ちなみに、スプーンもおそろいだ。

 新居の居間の壁には、ゆうまのお父さんが撮ってくれた、結婚式の写真。
 私とゆうまと、白鳥さん3人のパネル写真が飾ってある。

 そして、テーブルの上には、パリからの絵葉書が置いてある。
 国際郵便……白鳥さんからの便りだ。
 いつもはメールなのに、彼女はたま~に絵葉書を送って来る。

 そう白鳥さん……白鳥礼華も努力の結果、夢をかなえた。
 私とい~っぱいラノベを読んで想像力がかきたてられた事、ゆうまとイラストの勉強をした事が服飾のデザイン画を描くのには、大いに役立ったと言ってくれた。
 少しでも、白鳥さんの友情に報いる事が出来た事はとっても嬉しい!

 彼女は現在、ファッションデザイナーとして修業中。
 パリコレに出る某海外有名ブランドのアシスタントデザイナーとして奮闘中なのだ。

「ねぇ、ゆうま、絵葉書見た」
「おう、見たぞ。白鳥さんが帰国したら、時間作って必ずやろうな」
「うん! ハムカツサンドは必須ね!」
「当然さ! ブラックコーヒーも忘れるなよ!」
「うんっ!」

 私は記憶をたぐる……
 過ぎ去りし青春の日々が、走馬灯のようによみがえる。

 ……中学校の屋上。
 真っ青に晴れた大空の下で私とゆうま、白鳥さんはハムカツサンドを食べ、苦いブラック缶コーヒーを飲んだっけ……

 大事な大事な3人の想い出……心にしっかり刻んである。
 多分、ゆうまも遠き日に(おも)いを()せているに違いない。

 ……笑顔で頷き合う私とゆうま。
 白鳥さんから来たパリの絵葉書には、
『サンドイッチ祭り開催、絶対希望! 礼華』と大きくはっきりと書いてあった。《完結》
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