雪の降るこの街で君に恋する
宏の答え
久しぶりに雪と帰るせいか、なんだか緊張してしまう。でも、他愛もない話をすると、笑いになってしまう。やっぱり、雪は俺にとって特別だ。

『雪。さっきさぁ』

「ん?どうしたの?」

『いや、なんでもない。』

「明日は、学校来るの?」

『いや、明日は仕事だ。だから、次に学校に行くのは、3日後かな』

「そっか。仕事頑張ってね」

『おう。ありがとな。』

「じゃあ、バイバイ」

『雪!』

気づけば、雪の名前を叫び、後ろから抱きしめていた。

「えっひ、宏 どうしたの?」

『何かあったら、俺に言えよ。お前は、俺が大切にするから。』

「宏。私は、大丈夫だから。」

『俺は、お前が心配なんだよ。』

「宏は、もう私達と同じとこにはいないんだよ。宏は、私達より上のステージにたってるんだよ。その夢を、私は応援してる。宏は、ファンの人達に笑顔と幸せを与えてあげなきゃいけないんだよ。」

『雪。』

「宏は、あの約束を覚えてる?」

『あの約束?』

「小さい頃、雪の浜公園でした約束」

『あぁ。覚えてるさ、俺はお前の為に芸能界に入ったと言ってもいいくらいなんだからなハハ。』

「ははは、ありがと。でも、そんなこと言っちゃダメだよ。宏は、自分の夢のために入ったんだからさ」

「じゃあね。また、話そうね。」

俺は、雪を離した。そして、雪の帰っていく背中を見た時俺は、確信した。雪に惚れていると。でも、この恋は叶わない。たとえ、雪も俺を思ってくれていたとしても、俺は、夢を叶えるためまだこの思いをうち明けることはできない。この気持ちに気づきたくなかった。といえば、嘘になる。俺は、多分もっと前から雪が好きだった。この想いを伝えていいものか、今伝えた方が気が楽になるのだろうか、そう思っても弱虫な自分がいる。この関係が壊れてしまうんじゃないか、もう、隣にはいられなくなるんじゃないかと、いくら考えても答えは出てこない。だから、この気持ちは、今は胸の奥で蓋をしておく。それが、お互いのためだと思っていた。でも、それは俺だけだった。俺のせいでは雪が悲しんでいるなんて、その時は思ってもみなかった。
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