僕に向かい風が吹いたって
僕はそう返すと、スマホの電源を落とした。



今日も退屈な一日を終えて、街を歩く。本当に、楽しいことなんて何も無い。僕は、周りから浮いてるから友達なんていない。

「……わぁ!この服、可愛いね!」

近くの服屋さんの前を通りかかった時、女の子が、女の子の友達……かな?が着てる服を目を輝かせながら見ていた。

「ありがとう!頑張ってオシャレしたんだ~」

嬉しそうに、女の子は笑う。でも、僕はその近くにいる男子の服装に目が止まった。

「……かっこいいな」

あの服を着たら、少しは男性として見てもらえるのかな?

「……」

僕は、深くため息をつくと歩き出した。



「昨日言った通り、転校生を紹介する。入っておいで」

先生がドアの方を見つめると、ドアが開いて、ミディアムの綺麗な黒髪の女の子が入ってくる。見た目から大人しそうな子だ。

「……皆さん、初めまして。東北から来ました白井 結芽(しらい ゆめ)です。よろしくお願いします」

結芽は、ぺこりと頭を下げた。先生は、辺りを見渡すと「席は空いてるあそこな」と僕の隣に指を指す。

「分かりました」

結芽は僕の隣の席に座ると、「よろしくね」と笑った。
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