僕に向かい風が吹いたって
結芽の言葉に驚きながら、僕は「そうだよ」と返す。

「僕は、女の子だけど……それと同時に男の子であるとも思ってるんだ。どちらかって言ったら、男子の方が強いかな」

「……そうなんだ。でも、何で転校してきてまだ1日しか経たない私にそのことを?」

「余計なことを言ったから……話しておこうと思って」

「……そっか。私だけ隠しておくわけにもいかないし……私も話そうかな……私……同性愛者なんだ……私は、いつも女の子に恋をするんだ。転校する前の話なんだけど……前の学校で、同性愛者だってことがバレてしまって……それで、皆離れてしまったんだ」

「……そっか。僕らって、似た者同士なんだね」

僕は、結芽に微笑んだ。



結芽が転校してきて、数か月。寒い季節がやって来た。クラスから浮いてる僕と一緒にいる結芽に、クラスメイトの皆は近づこうともしなかった。

「そう言えば……皆は、何で宏に話したがらないの?」

帰り道。僕の隣を歩く結芽は、そう問いかけてきた。

「……僕、小学生の頃……男子の服を着て、両親に内緒で一人称を『僕』にしてた時があったんだ。それで、皆……気持ち悪いって、離れていったんだ……その時、いた子が高校も一緒で……」

僕は、ただ……ありのままの自分でいたかっただけなんだ。
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