庵歩の優しい世界



2/28


 きっかけが欲しくて荷解きを手伝ってもらおうか思案していると、ちょうど庵歩さんがお裾分けを持ってきてくれた。



俺とナツは共謀して庵歩さんを家に招き入れることに成功し、一緒にご飯を食べることにも成功した。しかし、それまでに色々あった。



この日記を、書斎ではなく適当な段ボールにしまっていたので、庵歩さんに見られてしまう可能性があった。


おかげで挙動がおかしくなって、怪しまれるはめに……。
この日記帳はその後、素早く回収し書斎に移した。



 俺はナツ相手に、庵歩さんに関するあれこれをひたすら喋っている。あれこれと言えど、知り合って間もないので、中身はスッカスカだが。



 ナツはその年にしては大人びているので庵歩さんに告げ口などしないと思うが、
子供っていうのはなんでもしゃべるから、万が一、ナツが変なことを庵歩さんに吹き込んでないか心配だ。



初対面から大こけしてるのにこれ以上失態を晒したらいけない。



ここだけの話、ナツを口実に部屋にお邪魔させていただいたり、俺自身驚くほどアクティブに度重なる暴挙に出ている。(こういうことを書くからこの日記の機密性が増すのだ)



俺の辞書に『積極性』って言葉は載ってないと思ってたけど、
むしろこのことに関しては太文字でラインマーカーまでされているように思う。




 昨日、ミッションなどと言ってひとり盛り上がってた決意のようなものは、この日記の通り、庵歩さんと呼ぶことになった。


成り行きはいたって不自然だったが(俺は庵歩さんを目の前にすると、いつも不自然な感じになる)


目的は達成できたので、合格!!



< 30 / 58 >

この作品をシェア

pagetop