自信のない恋に優しい愛
「キャツ! 崎山さんだ!」
理奈の小さな黄色い声に反応して思わず食堂の入口を振り向き見た私に、彼女は唇を尖らせた。
「んもう、若宮さん。そんな物欲しそうに崎山さん見てたら恥ずかしいですよ」
よし、決めた!
今夜にでもネットで藁人形を注文しよう。
そう決意を固めた私に内緒話をするように理奈は顔を近付けてくる。
「でも、崎山さんが社食でお昼なんて珍しいですよね? いつもは外でとってるはずなのに。お昼には麺ものを食べるって決めてて、取引先の人と食べる時以外は必ず麺類なんですって……あ、やっぱりうどん定食頼んでる」
ビックリするぐらいマニアックな情報を嬉しそうに語る理奈に驚きつつ、それを口にしたら馬鹿にした口調で笑われてしまった。
「やだあ、若宮さんったら……崎山さんっていったら女子社員の憧れの的ですよ? みんなこぞって崎山さん情報は仕入れてるんですから。まあ、若宮さんには関係ない話でしょうけど」
「そ、そうだね……」
こえぇよ、女子! やばすぎる!!
と心の中で叫びつつ、無難に相槌を打つ。もうこの際、「若宮さんには関係ない」発言もスルーしてしまった方がいいと思うくらいに理奈の目は血走っていて怖い。
だが、確かにそれもある意味仕方ないのかも知れない。