【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜
「うん……。だって見た目はもう、本当に奏人そのまんまで……。声だって、少し似てた。笑った顔も、似てて……」
顔だけで判断なんて出来ないし、本人かどうかなんて分からない。
「……だけど彼の名前を呼んでしまった時、やってしまったと思ったよ」
「まぁ、その気持ちも……分からなくは無いけどさ。 でもねぇ……」
藍那はそう言って、考え込んだような表情をしていた。
「……信じられる? 目の前に、愛した男性がもし別人として現れたら」
「そうねぇ……。ちょっと戸惑うよね、普通は。……冷静じゃいられないよ、きっと」
藍那はそう言って、飲んでいたカフェラテを飲み干した。
「……わたし、本当に奏人じゃないのか知りたい。だけどあの日以来、何の連絡もなくて……。本当に彼だったら、どうしようって思ってる」
もし五月女社長が、名前を変えた奏人だったら? それをわたしは、受け入れられるのだろうか……。本当に奏人だったら、どう言ったらいいのか……。