【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜



 わたしはあの妊婦さんが心配になり、処置が終わるまで待合室で先生を待っていた。

「中川先生……!」

「五月女さん? まだいたの?」

「はい。あの妊婦さんが、心配で……」
 
 あの妊婦さん、とても苦しそうだった。そしてとても辛そうにお腹を抑えていたから。すごく心配だった。

「早見さんなら、もう大丈夫よ。 あなたがすぐにわたしを呼んでくれたから、赤ちゃんもお母さんも無事よ」

「そうですか……。よかった」

 その報告を聞いて、とても安心した。同じ妊婦として、自分もそうなるかもしれないと思ったら、他人事とはどうしても思えなかった。

「早見さんが、あなたにありがとうって言ってたわよ」

「……え?」

「あなたがすぐにそばに来てすぐに先生を呼んでくれたおかげで、自分も赤ちゃんも助かったから。ありがとうって伝えてほしいと言われたの」

 そんな……。わたしは何もしていない。だけどこうやって感謝されることもあるんだなって、思ったりもした。 
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