【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜



 社長ならもっといいものを食べている印象があるけど……。意外と庶民派、なのかな……?

「意外?」

「……え?」

「俺がこういうとこに来るの、意外だなって思った?」

 そう聞かれて、わたしは正直に「はい」と答えた。

「そっか。俺こう見えても、意外と庶民派なんだよね。 なんか分かんないけど、こういう所で飲むビールがたまらなく美味いんだよね」

「……まぁ、確かに。美味しいですよね」

「良かった。分かってくれる?」

 と、五月女社長は嬉しそうに笑った。

「はい。仕事終わりのビールは、格別ですから」

 わたしだって、仕事終わりのビールが好きなのだ。 特に大きな仕事を終えた後のビールは格別に美味しい。

「そうだな」
 
 生ビールの他、おつまみなどを頼んだわたしたちは、そのままビールが来るまで待つことにした。

「そうだ、奈都。俺に話って?」

 と彼はお絞りで手を拭きながらわたしに問いかけた。

「……あ、えっと」

「遠慮なく言っていいぞ?」
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