【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜

「……言っておくけど俺、結構嫉妬してるよ？」

　と、五月女社長はわたしに言った。

「……え？」

「奏人って名前呼ぶ度に、奏人のことを思い出す度に。俺はいつも奏人に嫉妬してる」

「……五月女社長が、嫉妬？」

　五月女社長がこんなことを言うなんて、想像もしてなかった。

　奏人の代わりでも構わないって社長はいつも言っていたけど、本当は奏人に嫉妬していたんだ……。わたしはそれを知らなくて、利用しようとしていたんだ。……なんだか、申し訳ない。

「ああ。……だから今度からは奏人ではなく、ﾞ俺ﾞのことをちゃんと見てほしい。ﾞ五月女咲哉ﾞとして、俺をちゃんと見てほしい」

　そう言った五月女社長は、わたしのことを後ろからﾞギュッと抱き締めた。

「……咲哉、さん」

　その抱きしめられた温もりが、わたしにはとても切なくて……。どうしようもないくらい、辛くなった。

「奈都、俺は奏人みたいにどこかに行ったりしない。……ずっと奈都のそばにいる。だから、俺と付き合ってほしい」