エリートな彼の好きな女 ~ウブな秘書は恋愛をしたくないのです~
再び佐倉さんの運転で社長のマンションまでやってきた。
オートロックでコンシェルジュもいて、セキュリティ面ではこれでもかってほど安全だ。
部屋に入れてもらい、暖かい飲み物を用意して社長は席を外した。
会社に連絡しなきゃいけないし、気を利かせてくれたのだ。
「それで、茉梨香。 何があったか話してくれる?」
茉梨香は頷いて、ゆっくりと話し出した。
「この前、彼氏からのプロポーズ保留にしたって言ったでしょ? 今朝、急に呼び出されて…私、今日はたまたま休みでね。 行ったの、彼のところに」
「うん」
「返事、聞きたいって言われて……思い切って聞いた。 浮気してるでしょ……って。
そ、そしたら、突然…態度が変わって」
その後は聞かなくても分かった。
頬の傷は彼氏につけられたのだと思うと腸が煮えくり返りそうになる。
「陽葵にも、社長さんにも迷惑かけて……ごめん。 私がもっと上手く対応できていればこんなことには――」
「大丈夫だから! もう謝らないで」
しばらくして社長が戻ってくる頃には、茉梨香も落ち着きを取り戻していた。
社長には私から話をしたけれど、やっぱり彼は冷静だった。
「次、その彼氏から連絡が来たら、俺が出ます」
「え…?」
「相手は浮気してるんですよね。ということは、それなりにモテてきたと思います。 今回は、茉梨香さんを自分のものにできなかったのが悔しかったんでしょう。 こちらにも男がいれば、諦めてくれるかもしれません」
どことなく、それが俺だったなら尚更。 ってのが伝わってくる。
「確かに……そこそこ顔はいいですけど、社長さんには余裕で負けてます」
おぉ。茉梨香も同じことを思った?
自分のルックスを武器に使えるなんて、羨ましいわ。
「じゃあ、そういうことでお願いしますね」
社長がにこやかに笑う。
茉梨香がばっとこちらを振り向いて、目をまん丸にした。
「ねぇ、実物、超眩しいんだけど!?」
コソッとそんなことを耳打ちする茉梨香。
良かった。 元気出てきたのね。 平常運転に安心したよ。