24時の鐘と俺様オオカミ
 ん、と差し出される本。

 それを受け取ると、大路君は、


「じゃあな、赤ずきんちゃん。オオカミに食べられてからじゃ遅いぞ」


 と言い残し、その場を去った。
 ……オオカミだと自覚していたんですね。

 残された赤ずきん……いえ、私はと言えば、


(……どうして、)


 沸き上がるのは怒りではなく、キスをしてしまったという恥ずかしさで。

 なぜこんなにも鼓動が早いのか、


(……違います)


 気づかないふりをした。

 ねえ、オオカミさん。あなたはどうして、
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