騎士(ナイト)に チェックメイト
あの悪魔の様にニヒルに笑う顔が脳裏に浮かび、制服の上からでもハッキリとわかるほどに心臓がドクンドクンと暴れ出す。
どうしたら良いか考えようとするが、まったく頭が回らない。
(落ち着け。落ち着け。)
授業が終わるまであと4分。
(深呼吸。深呼吸。とりあえず落ち着け。)
何度も自分に言い聞かせ深呼吸を繰り返した。
キーンコーンカーンコーン
いつものチャイムでさえも身体がびくついてしまうほど、私の心は恐怖に苛まれている。
二度と解かれない様に
きつくきつく
薄くなった両腕の古傷が
小刻みに震え出す。
(とりあえず、購買行かなきゃ)
生意気なあの弟に何故かすごく会いたくて、誰とも話さず教室を出た。