騎士(ナイト)に チェックメイト
あの後すぐに別の車が入ってきたので、終わったら連絡してとだけ言い2人はバイクで去っていった。
こんなにバイトが終わるのが待ち遠しいなんて初めてかも。
また樹くんに会える、そう思うだけでいつものバイトも凄く前向きに頑張れた。
21時ぴったりに退勤を打ち急いで休憩室へ向かった。
帰る支度も凄いスピードで終わらせて樹くんに電話をする。
「もしもし、終わった?」
「うん、今終わったよ。どこにいる」
「階段の下まで行くからあと5分したら出てきて」
「わかった。ありがとう」
この時の私は樹くんに少しずつ惹かれている心がなんだか心地よくて、あのストーカーの事なんてちっとも頭になかった。
あの悪夢が少しずつ近づいていた事なんて知るはずもなかった。