秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました

今度こそ守りたい



茜音はなぜ俺を拒むのか。

俺が父親だと暗に認めながらも、頑なに親子として関係を築こうとしないのはなぜか。

愛が覚めたというのならまだわかる。だが、彼女が俺に対して未練を抱いているのは、その態度からあきらかだ。

なにか俺には言えない理由があるのか?

しかし、思い当たるものはなく、俺は途方にくれた。



茜音と公園で別れた翌日。

病棟から医局へ向かう途中で後期研修中の医師、西園寺先生と顔を合わせた。救急外来で晴馬を処置してくれた先生だ。

先日はありがとう、そう声をかける前に。

「不倫はよくないと思いますよ」

ぶっそうな警告をされ、俺はポカンと口を開いた。

「突然、なにを言っているの?」

「救急に連れてきたお母さんと、処置室でイチャついていたでしょう」

どうやら茜音の肩を抱いているところを見られていたらしい。

まずったなぁと頭をかく。茜音との関係にうしろめたいことなどないが、面倒な噂が立つことは勘弁してほしい。

「いや……違うよ……不倫だなんて」

「人妻に手を出して、言い逃れできるとでも思っているんですか? それとも、いずれ責任を取って結婚するとでも?」
< 156 / 205 >

この作品をシェア

pagetop