秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
最近の兄は仕事が忙しく、帰りはいつも日付が変わる頃。

自転車通勤をしているから、終電を気にする必要はないのだけれど、際限なく残業できてしまうから余計に帰宅が遅くなるのだろう。

昨日、私が足の腫れを相談したのも、兄が帰ってきてから――二十四時に近かった。おかげでとんでもない時間に涼晴さんを呼びつけることになってしまい、本当に申し訳ないことをしてしまった。

「一応兄の分のお弁当も買ってはみるんですが、一緒に食べられることはほとんどなくて」

気持ち的にはひとり暮らしに近い。家に帰ってきても部屋は真っ暗で誰もおらず、誰とも会話しないまま眠りにつく日も多い。

今に始まったことではないけれど、孤独にはなかなか慣れない。

歳が五つ離れている兄は、私が大学生になる頃にはすでに忙しく働いていた。

昔はもっと都心から離れた安いマンションに住んでいたけれど、兄が一級建築士の資格を取り事務所を設立したことで、収入も安定し、この贅沢な高層マンションに引っ越してくることができたのだ。

しかし、兄の忙しさは年々ひどくなるばかり。

最初は「新人だから頑張らなきゃ」と言って残業していたが、今では「トップだから頑張らなきゃ」と言って残業している。いつになっても頑張ることには変わらないらしい。
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