秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
「まいごのまいごの子ネコちゃん~♪ あなたのお家はどこですか♪」

小さい声で歌ってやると少し落ち着いてきたようで、泣き声が小さくなった。

しかし、今度はぱっちりと目を覚まし、絵本で遊び始めてしまう。

「……晴馬……明日も保育園だよぉ……」

そして私は会社だ。

一歳五カ月の子どもにそんな同情が通用するわけもなく、再び晴馬が寝付いてくれたのは、それから二時間後だった。



「昨日も夜中に泣いてただろ。大丈夫か?」

兄が麦茶のペットボトルをラッパ飲みしながらリビングにやってきた。五〇〇ミリリットルのペットボトルには油性ペンで『俺』と書かれている。晴馬のものと間違えないように我が家は記名制を採用している。

「ああ……うん、大丈夫。三時に目が覚めちゃったけれど、また寝てくれたから」

私の睡眠時間は合計四時間半。合計というところがまたつらい。細切れの睡眠じゃ、正直眠れた気がしない。

全然大丈夫ではないけれど、愚痴るわけにもいかず取り繕った。

私のワガママで産ませてもらって、兄にまで迷惑をかけているのに、愚痴なんて言えっこない。
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