秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
あのときの彼女が浮気をしていたとは考えにくい――いや、考えたくないの間違いか。ただの勝手な希望だが。

やはりあれは俺の子ではないのか、そんな考えが頭を巡る。どうかそうであってほしい。

夕べ、彼女は左手の薬指に俺がプレゼントした指輪をつけていてくれた。俺への想いがまだ残っているのだと思いたい。

俺自身、彼女のことをあきらめられていないのだ。

だいたい、息子の名前に忘れたい男の名前の一部など入れないだろう。そこに愛が残っているから入れてくれたのではないのか。

頭を抱えデスクに伏せていると。

「眞木せんせ。お帰り」

突然、うしろからオジサンのお茶目ボイスが聞こえてきて、俺は「わぁ!」とその場で飛び上がった。

慌てて振り向くと、立っていたのは白衣を纏った男性。五十代くらいの、髪に白髪が混じり始めたナイスミドル。

彼は予想以上のリアクションに驚いたらしく、両手をあげて無抵抗を示した。

「そんなに驚くことないのに。もしかして、なにかよからぬことでも考えていたの?」

「……っ、院長先生! びっくりするじゃありませんか」
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