秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
彼女は満面の笑みを浮かべてボックスを冷蔵庫へ持っていく。「なんで俺より涼晴が感謝されてんだ?」と斗碧は不満そうだ。

「照れくさくて言えないだけだよ」

事実、その通りだと思う。彼女は少し恥ずかしがり屋なところがあるから。

しかし、斗碧もとっくにわかっていたようで「わざわざ言われなくても知ってるよ!」と照れた顔で鼻の頭をかいた。そういえば兄のほうも恥ずかしがり屋だったか。

朗報にすっかり気をよくした斗碧が日本酒を開ける。普段は飲まない茜音も飲んでみるというから、俺も少しだけ付き合うことにした。

とはいえ、俺と茜音はひと口嗜む程度で、大半は斗碧の胃袋に吸い込まれていった。勢いよく飲み過ぎたのか、食事を食べ終わる頃、斗碧はすっかりできあがっていた。

「やばい。眠い。耐えられん。あとはよろしく頼む」

そう言って自室にこもる。仕方なく茜音は「兄が起きてきたらお夜食に」と寿司を別皿に移しラップをかけ、冷蔵庫にしまった。

「仕方がないから、デザートは俺たちで食べようか」

「そうですね! あんなに大きなケーキ、食べられるかな」
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