偽りの夫婦
「私が好きなのは、紫龍だけだよ。
嫌だったの。紫龍がカッコいいから、ショップに来たら一瞬でみんなの視線さらうと思って………
嫉妬…しちゃうから……」
口唇を離して、紫龍の目を見つめ呟くように話す陽愛。

愛しい……いや、愛しい等と言うレベルではない。
それを遥かに越える狂愛で紫龍は、エレベーターが着いてすぐ早足で歩き、三好に玄関を開けさせ、靴を脱ぎ捨て、寝室へそのまま真っ直ぐ向かい、ベットに陽愛を下ろした。
そして陽愛を組み敷き、
「なんで…そんな、可愛いの?」
「え…」
「そんな可愛いことされたら、ほんとに許すしかなくなるじゃん!
もちろん、許してあげるつもりだったけど、正直まだまだ意地悪しようと思ってたのに……
反則だ……////」

「紫龍…好き…」
「だから、これ以上煽らないで…」
「ンン……」
そのまま陽愛の口唇を奪うように貪り、陽愛の身体中に溢れて止まらない激情をぶつけた。

「んぁぁ……も、う…休憩……させて…身体が、もた…ない」
「陽愛……陽愛…陽愛……愛してるよ…愛してるんだ……」
紫龍は何度果てても、止まらなかった。
それ程の激愛で、狂愛。
紫龍の方が、陽愛にはまり抜け出せない程、落ちていた。


紫龍は一人シャワーを浴びる。
風呂場を出ると、三好がドア前にいた。
「旦那様、本当に申し訳━━━━━
え……?」
三好を壁ドンする。
「お前の…ご主人様は誰?」
「え…旦那様です」
「だよね?
だったら…もう二度と……俺に、隠し事…するなよ」
「はい…」
黒く、重たく圧迫感のある紫龍の雰囲気。
この雰囲気に囚われると、もう何も考えられなくなる。

惚れたら負けと言う言葉がある。

紫龍は最低・最悪の男。
なのに、紫龍に惚れている三好にとってこの残酷さが、美しい━━━━━━
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