帝王と私~Darkness~
「岡埜」
「はい」
「一度…部屋に寄りたい」
「構いませんが、20分程しか居れませんよ?」
「いいよ。
弥生に触れたい…」
「でももう…眠ってしまってるのでは?」
「いいんだ。少しでも触れることができれば…」
「かしこまりました」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
部屋に着くと、テーブルの上に手紙と野菜ジュースが置いてあった。

【貴将さん、いつも遅くまでお疲れ様。
これを飲んで、体調には気をつけてね!
この野菜ジュース、私の愛情入りなのでよく効くよ(笑)!なんてね!】
フフ…と微笑み、そのジュースを一気飲みした貴将。

そしてベットに向かった。
「可愛い……」
愛しくて、堪らない。
弥生をただ見るだけで、狂気で震えるのだ。

貴将が唯一…心を揺さぶられ、コントロールできない人間。
貴将に愛を教えた人間。

貴将はゆっくりベットに近づき、弥生の頬に触れた。
柔らかくて、すべすべした頬を撫でた。
「弥生、好きだよ……。
ごめんね…もう二度と放さない…いや、放せないから………」
まずいな……。
触れたら、離れられない。
このまま…ベットの中に入り、弥生を抱き締めて眠りたい。
好きすぎて……。
ずっと離れたくない。

ブーッブーッ……
スーツの胸ポケットのスマホが震えている。
「時間か…」
ピッ!
「岡埜?」
『社長、お時間過ぎてます』
「わかった」

「弥生…後でね…」
もう一度、頬を撫で部屋を出た。
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