帝王と私~Darkness~
「精力処理なら、使えるんじゃね?お前」
「なっ…!」

「そんなことより、弥生行くよ?
早くこんな汚ないとこから、脱出しないと弥生まで汚なくなる。
特にこんな醜い女から逃げないと……」
「ちょっ…貴将さん!
いくらなんでも、失礼……」
「失礼なのは“コレ”」
と糸島を指差す、貴将。

「は?」
「俺のこと散々詰っといて、紹介してほしいって……失礼でしょ?
どの面下げて、言ってんだよ!?」
「何よ!帝王だからって!」
糸島がつっかかるように、貴将に言った。

「あ?何か間違ってんのかよ?
言えよ!俺の何が間違ってる?」
真っ直ぐな、何の曇りもない貴将の言葉。

「女性を罵倒するなんて、最低」
「俺を罵倒した奴に言われたくねぇよ!
後は?」
「精力処理なんて…酷いわ!」
「だったら、とっくの昔に結婚できてるんじゃねぇの?お前みたいな容姿なら。
後は?」
「……え…?」
「なんだよ!もう終わり?
俺はお前の質問に100%返せるよ?
言ってみろよ!俺の間違ってるとこ」
「………」
「フッ…!都合悪くなったら、黙る。それもお前みたいな人間の常套句だな」
すっかりさっきまでの勢いをなくした、糸島。

「弥生、行くよ!
あ、後…もし弥生を傷つけるような事したら、お前…命ねぇから!」

そう言って、弥生の手を引き会場を出た貴将。


「だから、恥かくって言ったのに……」
と、栞奈。
「うるさいわよ!?」
「一応言っときますが、最後の帝王の言葉。
………脅しではありませんよ?」
栞奈もそう言って会場を出た。


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