帝王と私~Darkness~
弥生も栞奈も、そして糸島の頭の中が“?”だ。

「あの…貴将さん?」
「覚えてないの?」
「え?」
「俺と弥生が運命的に出逢ったパーティーの日に、俺がワインぶっかけて詰ったじゃん、お前」
糸島を真っ直ぐ見て言う、貴将。

弥生達三人、あの時のことを思い出す。
「あ、貴将さんがボーイさんに変装してワイン落とした時の?」
「そうだよ?
紹介も何も、クリーニング代も渡しに行ったよ?俺」

「あの時の冴えない………」
「そう。あの時の冴えない男。
それ、俺」
「嘘……全然違う」
糸島は心底信じられないと言う風な顔をしている。

「そうだよな…普通は気づかないはずなんだよ……!今まで気づかれたことなかったのに……。
でも、弥生は一発で気づいたんだよな……!」
「そうなの?弥生」
「え?だって、目が帝王さんに似てたから」
「あー、あの怖いって言ってた?」
「そう」

「で?今更、何?」
「あの…私……」
「興味ない…お前のような汚ない女」
「え…?」
「お前…まさか自分は綺麗だとでも思ってんの?」
「は?」
「ほんとに綺麗な女は弥生のことを言うんだよ。
中身が綺麗な女は、外見も綺麗になる」
「なっ…!それって私が醜いみたいな…」
「今頃、気づいたのかよ?かわいそうな女。
男を舐めるなよ!お前を綺麗だとでも思ってるのは、お前と同類の女位だ。
女って、容姿ばっか気にして中身磨かないもんな。
だから、容姿だけの女は一生一人なんだよ…!」
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