帝王と私~Darkness~
貴将はまるでおもちゃを壊すように、無邪気に糸島を痛め付け、なぶり殺した。

「終わった。羽山!あとは頼むな!」
「はい、おまかせ下さい!」

貴将は弥生の足枷を外し、抱きかかえて廃工場を去った。


外では、岡埜が待っていて車のドアを開ける。
「社長、お疲れ様でした」
「あぁ」
ゆっくり弥生を車内に寝かし、自分も車に乗り込み弥生を膝枕した。
「さすがに疲れたな……。
手も痛ぇな」
「弥生様は、大丈夫でしょうか?」
「とりあえず、ゆっくり寝かせて傍にいたい」
「はい、仕事の方は私がなんとか調整します!」
「頼むわ!」
「もちろんです!私共は、あなたの為に存在してますから」

貴将の部下達は、貴将に完全服従だ。
でもそれは、部下達みんな貴将に助けられ、一生分の恩があるからだ。
だからみんな貴将の為に全てを捧げている。

ホテルに着き、弥生を抱えて部屋に帰る。
ビリビリに破れた弥生の服を見るだけで、また怒りで吐き気がする。
その吐き気と戦いながら、一度弥生を下着姿にした。
パジャマを着せようとしていると、弥生がバッと目を覚ました。

「はっ!嫌!来ないで!触らないで!」
「………弥生!?俺だよ?貴将だよ!?」
「嫌ぁぁ!私に触れていいのは、貴将さんだけなの!離して!!」
暴れる弥生を、必死に抱き締める貴将。
弥生はパニックになり、尚も貴将の腕の中で暴れている。
「嫌!怖い!貴将さん、助けて!」
貴将は言葉にならない悲痛な思いを抱えながら、ただ弥生を抱き締めていた。

「弥生!俺は貴将だよ!!大丈夫……俺がいる!」
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