帝王と私~Darkness~
「え……」
「こっち、おいで?
俺が服選ぶから……!」
「うん…」
弥生的には、可愛いと思っていたのに貴将に可愛いと言って貰えなかったことに、若干ショックを受けながら、ついていく。

貴将が弥生の服を、ひとつひとつ見て選んでいる。
「そんなに似合わなかった?
可愛いって、言ってくれると思ったんだけどな……」
「ん?可愛いよ!弥生」
当然のように、答える貴将。

「は?でも、着替えろって!」
「そんな可愛い弥生を、なんで俺以外の人間に見せないといけないの?」
「え?」
「まぁどれを着ても、可愛いのは変わらないけど…。
んー、これが一番無難だな…!
弥生、これ着て?」
とワンピースを渡された。
「うん」

そして着替えて、部屋を出た。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「なんか…幸せだね!一緒に手を繋いで歩くだけで」
「そうだね…!」

すれ違う人達が貴将を見て、振り返る。
「貴将さんは、どこに行っても人の目を引きつけるね!」
なんか…隣で歩くの、恥ずかしいなぁ……
と思い、つい…うつ向いてしまう弥生。

「そう?俺は弥生しか見てないよ!」
そう言って、弥生の顔を上げさせる。
「え?」
「弥生が……無自覚なだけ……」
貴将の綺麗な顔が近づいてくる。
「そんな…こと……ない、よ…?」
そのまま口唇が重なる。

こんなとこで、キスなんて………
と思うが、離せない。
そのまま口唇を離せないまま、ただ貴将にしがみついていた。
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